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ヨガを暮らすーこころにやさしいヨガ哲学
「心を詠む猫」


暮らしのヨガ哲学、感じたままにお届けします…

南フランス自給自足  ーナニーが教えてくれたこと vol.1

ナショナルパーク内のリトリートハウスには、私が暮らすずっと前から1匹の猫が住んでいました。その名はナニー。彼女はインドがからきた、ホワイトブルーの毛を持つ、少し変わったメス猫でした。彼女との出会いは、私に驚きを与え、それは、動物と人間の関わり方を考えさせられるきっかけとなりました。私は、猫を飼ったことがありません。もちろん犬もなければ、小鳥を飼ったこともありません。ハムスターを飼っていたことはありましたが、名前を呼んでもこちらに寄ってくることもなければ、芸をするようなことはもちろんありません。唯一寄ってくるときはエサの時だけ。だからでしょうか。動物に対して、どのように接するか、ということを考えたこともなければ、動物は人間とは違う生き物として接していたように思います。そんな私の心中を知ってか、賢いナニーが、私を試す出来事が起きます。

ナニ

南フランス自給自足  ーナニーが教えてくれたこと vol.2

ナニーは私になついていて、後ろをつけてきては、しっぽを可愛く振りました。私が、昼休みに折り紙を折っているときには、その横で昼寝をし、瞑想をしているときは、隣で休憩をしていました。夜はこっそり私の部屋に入ってきて、一緒の布団で寝ました。そんな可愛いナニーも、私にとっては『動物』でした。人間と比較したことはありませんでしたが、心のどこかで人間の言葉はわからない下等な存在であると、思ってしまっていたのかも知れません。ナニーはそんな私に、伝えたかったのでしょう。リトリートも半分に差し掛かった晩、ナニーがいつものように私のお布団に入ってきました。その様子を見ていたオーナーのジョーが言いました。『ナニー!だめじゃないか。ここで寝てはダメだ。ミカがぐっすり寝られないだろ!出なさい!』猫アレルギーや、ナニーのイビキを気にしてジョーからでた、私を労った言葉だと解った私は、ナニーが怒られるのを、可哀想に思いながらも、かばうこともなく、ただ見ているだけでした。ナニーは拗ねて暖炉の前へ丸まって座りました。その後、消灯をし少し時間が経ちました。ジョーが帰ればナニーはいつもの様に、来ると思いましたが、部屋に入ってくる気配はありません。結局その日は、ナニーの姿をみることはありませんでした。

ナニ2

南フランス自給自足  ーナニーが教えてくれたこと vol.3

次の日、就寝時間になってもナニーは現れませんでした。私は月明かりを頼りに、暖炉の前までいってみることにしました。小さく寂しそうに丸まって寝ているナニーを見つけて、私は言いました。『ナニー、今日は一緒に寝よう。』そういって、ナニーをいつものように撫でようとした瞬間、『シャー!!!!』という唸り声と共に、私の手を振り払ってきました。そして、その視線は、私を一点見つめ、何かを訴えているようでした。曇りのない澄んだ瞳は私に語りました。『なんで、あの時助けてくれなかったの?』そう言われたように感じた私は、なんて酷いことをしてしまったのかと、悲しい気持ちになりました。動物は人間の心を読めない、そう思っていた自分が恥ずかしくなりました。『ナニー!ごめんね!私も一緒に寝たいから、大丈夫だと、ジョーにあの時いうべきだった。本当にごめんなさい!』何度も謝り、しょんぼりして布団にひとり戻りました。猫に向かって、人間と会話するように、大きな声をあげて、気持ちを伝えようと必死になったことは初めてでした。時間が経っても、穏やかなナニーに拒否されたショックと、まっすぐな瞳が忘れられず、うるさい心臓の鼓動で、なかなか眠りにつけずにいました。数分後、カーテンが揺れ布団を踏みしめる音がし、ナニーが入ってくるのがわかりました。いつもはお腹のあたりで腰を下ろすはずが、この時は寝ている私の顔の前まできました。そして、ひたすら私の目をじーっと凝視します。その間に耐えられなくなった私は、『ナニー、ごめんなさい。傷つけてしまってごめんなさい。』心の底から、また声に出して謝りました。そうすると、ナニーは『ニャー。』と一言返事をし、私の頬に自分の頬をすり合わせ、いつもの場所に丸まって眠りにつきました。動物が人間の言葉を理解し、心を詠んでいる。それを実感した衝撃的なあの日から、すべての生き物に対しての見方が変わりました。今までいかに、人間を基準で物事をみていたかということ。人間の言葉で話すことができない生き物は、人間より優れていないということでは、決してないこと。話すのが得意でない分、それ以外の感性が、数段に研ぎ澄まされていて、虫や、魚、植物も同じことが言えると感じました。さらには、大人の基準は出来ることが少ない子供や赤ちゃんも、大人以上に優れているところを持っていたとしても、それは全くおかしいことでは無いと思いました。
ヨガでは考えることより、感じることの練習をしていきます。それは、考えることよりも、より自分の純粋な部分に近づくことができるからです。科学的に証明できているか、といったらそうでは無いかもしれません。頭で考えすぎ、上手に生きようとするが故に、本来人間のもつ感性というのが失われているとしたら、数値として証拠があるということが最も大事なことでは、ないように思います。
どんな生き物も、私たち人間の会話を理解していたら?私たち以上の感性を持っていたとしたら?接し方は当然変わるのではないでしょうか。人間中心の生き方や考え方では、盲目ばかりです。本来人間がもつ感性を目覚めさせてくれるものが、ヨガの哲学だと思います。その哲学を日々の暮らしを通じて、今後もやさしく伝えていきたいと思います。

Namaste,

Mika

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飯塚 美香

カリフォルニア州ロサンゼルス在住 YOGA PADMA代表。 ヨガインストラクター養成をはじめ、癒しのスタイルからアドバンス向けのクラスまで、指導経験は5000時間以上にも及ぶ。一貫性のある繋がった指導は、しっかりとした理論のもと行われる。ヨガの真髄と、奥深さに魅了されて以来、暮らしを明るく灯すヨガの智慧を、人生に活きる経験哲学として伝えている。